山林の景のように、11月は色とりどり。
スタートを華々しく飾るのはフェイズ4も滑り出し順調なMCU新作『エターナルズ』。
『アベンジャーズ／エンド・ゲーム』は始まりに過ぎない、ってポスターに書いてあるけど、そんなにぶち上げて大丈夫なのか？
しかし監督が意外も意外、あの傑作『ノマドランド』のクロエ・ジャオというのだから、アメコミには興味ないシネフィルとて、無視は出来ない。
そして10月公開予定が、シネマシティでは11月にずれ込んだ、ジョナサン・メイヤーズ主演の黒人ガンマン西部劇『ザ・ハーダー・ゼイ・フォール』がそれに続く。
タランティーノの『ジャンゴ／繋がれざる者』やマリオ・ヴァン・ピープルズ監督の『黒豹のバラード』を彷彿とさせる作品。Jay-Zプロデュースということでもちろん流れる音楽はHIP HOP。
今作はNetflixオリジナル作品だが、この後も続けて何作かNetflix作品を上映する予定。
また『ソウ』『インシディアス』『ワイルド・スピード／SKY MISSION』『アクアマン』など次から次へと特大ヒット作品を放ち続けるジェームス・ワン監督の18禁ホラー『マリグナント 狂暴な悪夢』に『SR サイタマノラッパー』『22年目の告白 私が殺人犯です』など快作を作り続ける入江悠監督が韓国ロケで挑んだ『聖地X』とホラーが続く。
そしてなんと言っても下旬からのミュージカル攻め。
アメリカで社会現象化した舞台「ハミルトン」の作詞・作曲・脚本・主演をこなした天才であり、映画においても『モアナと伝説の海』の歌曲作曲、『メリー・ポピンズ リターンズ』のガス灯点灯夫を演じ、直近では『イン・ザ・ハイツ』はこの人の作詞・作曲・主演舞台の映画化である、リン＝マニュエル・ミランダが音楽を手掛けるディズニー・ミュージカルアニメ『ミラベルと魔法だらけの家』。
オリジナル舞台はグラミー賞、トニー賞など主要賞を獲りまくっている、学園ミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン』。
この流れが、12月10日(金)公開のスティーヴン・スピルバーグ監督がリメイクする『ウェスト・サイド・ストーリー』に繋がっていく。
シネマシティといえばアニメというファンの方には『ソード・アート・オンライン プログレッシブ』、シネマシティ初上映の吉浦康裕監督新作『アイの歌声を聴かせて』を引き続き上映しつつ、『攻殻機動隊SAC_2045 持続可能戦争』、シリーズ完結編となる『EUREKA 交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』をご用意。
加えて実はシークレット5本のうち3本はアニメ。
「午前十時の映画祭11」は今月も怒濤の名作。
スコセッシ作品の中でもひときわヴァイオレントな『グッドフェローズ』に、最高 of 最高としか言い様がない、とんでもないブラックユーモアが炸裂しまくるデイヴィッド・フィンチャーの代表作『ファイト・クラブ』はもう辛抱たまらず【極音】で。You do not talk about Fight Club!
他にも引き続きの「ジム・ジャームッシュレトロスペクティヴ2021」から『ジョン・ウィック』の元ネタのひとつと思われる、武士道を極めし殺し屋がイタリアン・マフィアと激突する『ゴースト・ドッグ』。
もちろんジャームッシュが単なるアクション映画を撮るはずもなく、気の利いたジョークが満載、RZAが手掛けた流れるHIP HOPは死ぬほどクール。これは絶対【極音】やるしかなかった。
『コーヒー＆シガレッツ』は初期のモノクロへの回帰、ショートストーリーが数珠つなぎになったスタイリッシュで笑える、いかにもジャームッシュな佳作。
『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』はトム・ヒドルストン、ティルダ・スウィントンという非現実的美貌を誇る二人が、美しくももの悲しい吸血鬼を演じる、もうあまりの耽美にため息しか出ない傑作。
『パターソン』はいわずもがな、詩を書くのが趣味のバスの運転手の日常を描いて、なぜこんなに面白く、深い味わいが出せるのか不思議なヒット作。
今レトロスペクティヴを見続けてきたファンなら、今もなお『パーマネント・ヴァケーション』や『ストレンジャー・ザン・パラダイス』を変奏して作り続けていることに気づかされるだろう。
そしておそらく11月最大のヒットになるであろう、嵐の20周年記念ツアーを捉えた『ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”』。
音楽用のサウンドシステムを備えた“音楽のために生まれた映画館”シネマシティが本領を発揮できるはず。嵐ファンの皆さま、期待していただいて構いません。
肝心の映像のほうもDolby Cinemaの次くらいに美しいです。たぶん。通常の10倍価格の超高級スクリーンが貼ってあるところでやりますので。
ほかにもいろいろ。11月もシネマシティでお会いしましょう。
