切り立つフランスアルプスの岩峰を背に、中世より山中に凜として建つグランド・シャルトルーズ修道院。
雪深い場所ゆえにその屋根はいずれも鋭角だが、その斜度は外界を拒絶するための城塞を想起させないでもない。
ここでは世俗と断絶した厳格な戒律の下に、驚くべき求道的な暮らしを送る修道士たちが住む。
テレビ・ラジオなど娯楽の享受はもってのほか、日曜の散歩の時以外は私語すら許されず、日々変わらぬ祈祷と労働を粛々とこなし、一日の大半を一人で過ごす。魂が召されるまで。
これまで明かされることはなかった、この極めて禁欲的な世界を、監督は自身も6ヶ月同じ暮しを共にすることで映像化。
そぎ落とされた生活にふさわしく、音楽とナレーションを排してそこにある光だけで撮影された本作は「ドキュメンタリー」、あるいは「映画」という枠組すら超越し、グランド・シャルトルーズ修道院の世界そのものに近接していく。
岩波ホールで公開されるやいなや、連日長蛇の列を作っている話題作を2014年9月6日(土)から立川シネマシティでも上映。
たくさんの方々を魅了した「静寂の美」を「音響のシネマシティ」で。
闇に灯るろうそくの火のように、大いなる沈黙における微細な音は、胸の深淵にこそ響く。