【アメオトノオト】『アキラとあきら』とWKW4K作品の事を少し

立川シネマシティの映写チーフ、雨宮が【雨音 AMEOTO】のサインをつけた、個人的に音推しの作品についてコメントしていく【アメオトノオト】。

『アキラとあきら』
gスタジオ/上映中
https://res.cinemacity.co.jp/TicketReserver/studio/movie/2509

三木監督の作品が3本同時にかかっていますね…とびっくりしてはいたのですが、ノーマークな作品でした。今回この作品のチョイスをした理由は「なんかとても邦画らしいスタンダードな音」だと思ったからです。洋画のような煌びやかで分かりやすい高クオリティとかではなく、音を気にせず最後まで物語に集中できる良い塩梅の音です。これ簡単なようで実はとても難しい職人技だと個人的には思っています。

「音を気にせずに観れた」とは言いましたが、感情のコントロールは画以上に音の役割の方が大きいと思っています。その感情のコントロールを無意識にしっかりされつつ、気づいたら映画が終わっていた。それが映画音響の理想の一つです。

アニメ映画や地上波から劇場版になった作品等に多い事ですが、音が痛い事が多く台詞を聴いているだけでストレスを感じてしまいます。物語が入ってきませんし、「音が痛い」が先行して観賞どころではないです。
それともう一つ良くあるのが、LCRに変な低域が入っており、謎の膨らみがある音になっている場合があります。この今回私が言っている膨らみの低域はかなり不自然なので恐らくスタジオの方で聴こえていない低域なのだなと解釈しています。具体的には100Hzあたりで下方に一旦減衰していっているのに60Hz辺りが急に盛り上がっているみたいなイメージです(あくまでイメージ)。

これらは部屋の特性とかではなくスピーカーとしての再生能力に絶対的な信用が置けるMeyer Soundのスピーカーからの直接音とシステムと箱を変えての検証も行ったりもしているのでソースの問題だとはっきり言いきれます。もちろんJBLの現行シネマモデル4732Tや旧式の4638T+2446H等のスピーカーでも検証しています。

そして知る人ぞ知る、名劇場の一つでもあるgスタジオ。ここの音はTHXの流れを受け継ぎながらスタンダードな日本のシネマスタジオそのものともいえるぐらい緻密にコントロールされた劇場となっています。その劇場で「アキラとあきら」を観て最後まで音を気にせず没頭して観賞が出来たという事はしっかりとしたシネマサウンドが入っているからだと思います。
爆音や立体音響のような華やかな音も良いですが、ワビサビな音も覚えていくと映画鑑賞に深みが出ると思うので是非。

あと余談ですが
しっかり観れていないので【AMEOTO】にはしていませんが、ウォン・カーウァイ4K作品のサウンドスペックも素晴らしいものがあります。大変好評頂いており、たくさん観賞していただいております。
たぶん4Kと同時に音の方もリマスターしているのだと思いますが、素晴らしい出来になっていると感動しました。cスタジオというシネマシティの真の怪物だと思っている劇場で是非体験してみてください。