【アメオトノオト】『座頭市物語』『ワイルド・スピード ジェット・ブレイク』

チーフプロジェクショニストの雨宮が【雨音 AMEOTO】のサインをつけた、個人的に音推しの作品についてコメントしていく【アメオトノオト】。
舞台裏のエピソードなんかも紹介したり。

今週の【雨音】は二つとも初週の作品ではなく、上映してから時間が経っている作品だ。当初からどうしようかと悩んでいたが、やはりオススメしたいとの気持ちから後出しではあるが紹介していきたいと思う。

『座頭市物語 4Kデジタル修正版』
kスタジオ/上映中~9月16日迄
https://res.cinemacity.co.jp/TicketReserver/studio/movie/2244

『座頭市物語』の4Kデジタル修正版。午前十時の映画祭という過去の不朽の名作を年単位でシリーズ化して上映していくという映画好きとしてはたまらないこの上映企画も、もうお馴染みになっていると思う。
そしてこの4Kデジタル修正された『座頭市物語』であるが、4Kデジタル修正が凄く綺麗にできていて、最近のカメラで撮影したものを白黒のフィルターをかけているのではないだろうか?と思うぐらいとても綺麗な映像に甦っている。

音もとても綺麗になっていて、どのくらい音の方には手を入れたかはわからないが、凄く繊細な音が入っている。マスターのトラックが恐らくダメになっているノイズなんかも綺麗に乗っていて、そのノイズが逆に、デジタル修正の質の高さを物語っているように感じるほどだ。

クオリティの高い古い邦画を観た時に、ひたすら映画の音を聞いてきた側として凄いなと思う事がある。

それは、音が少ない中でしっかりと場を表現している事だ。昔の作品は、MONOと言って、センタースピーカー(※デジタル修正作品によってはL、Rチャンネルを使ったMONOの場合もある)からしか音が出ない音源が多い。そのため、今のサラウンドを使っても良い映画音響と違って、圧倒的に表現としては不利であり、なおかつ機材的にも映画に入れられる音に限りがあったため、音で何かを表現するというのはとても難しかったと思う。

しかし、この『座頭市物語』や昔の良く出来た作品は、現代のような音をてんこ盛りで入れて表現するのではなく、少ない音での表現の仕方がとにかく凄い。
音が少ないのに、そのシーンの説得力を感じてしまう。
説得力とは、川べりの土手や、賭博場といった環境だったり、刀で戦うシーンや、感情の描写まであらゆる演出の説得力。

MONOでセンターチャンネルのスピーカーだけを使い、声、効果音、音楽と共存しなければいけない。その見事な音の共存結果を『座頭市物語』とkスタジオで体験し、勝新太郎のめちゃくちゃカッコイイ「座頭のいっつぁん」に酔いしれてもらいたい。


『ワイルド・スピード ジェット・ブレイク』

cスタジオ/上映中
https://res.cinemacity.co.jp/TicketReserver/studio/movie/2226

今週は極上爆音上映のaスタジオとbスタジオでの上映がなくなってしまい、cスタジオで通常上映になってしまった。
「極上爆音上映じゃないなら、シネマシティじゃなくてもいいや」なんて思ってないだろうか。
よく考えてみて欲しい、前回の【アメオトノオト】でも触れたが、とても優秀なcスタジオであんな強烈なサウンドデザインのアクション映画。
そして、aスタジオと同じサブウーファーであるMeyerSound 1100-LFCが元気よく吠えている。

絶対楽しいに決まっている。

是非お試しあれ。