2024年5月のラインナップ

 G.W.での加速を落とさずに突っ走る5月。

 突如の発表となった大型企画「菅野×岩浪 SESSIONS」で、まずは初の1劇場にてTV版「ジョジョの奇妙な冒険」全シリーズのセレクション上映からぶちかまし。

 5月の塞ぎ込みがちな気分を晴れやかにする青春モノ立て続けにも注目。
 いかにも今っぽいDTMの音楽モノ『バジーノイズ』

 『新聞記者』の藤井道人監督が台湾との合作を行った新作『青春18×2 君へと続く道』は、かつて18歳の時に恋した日本人女性を追いかけて訪日する台湾人青年を描く。

 そして『水深ゼロメートルから』は、高等学校演劇研究大会で文部科学大臣賞を受賞した脚本を『カラオケ行こ!』の山下敦弘監督が映画化。
 このパターン「ももいろクローバーZ」が主演した秀作『幕が上がる』をなんとなく想起させ、期待せざるを得ない。
 アニメ『トラペジウム』も、ストイックにアイドルを目指す女子高生の青春物語。「乃木坂46」の1期生、高山一実の原作小説をアニメ化。

 猿たちに「生き様」を教えられる秀逸なリブートシリーズ『猿の惑星』の新作『猿の惑星/キングダム』もアツい。
 前作が堂々たるラストを迎えたので3部作と思い込んでいたが、これすごく良く出来ているシリーズなので新作も楽しみ。

 すでに公開されたアメリカでは大ヒット、評論家のレビューはイマイチだが、観客大絶賛の、いわゆる『ボヘミアン・ラプソディー』『グレイテスト・ショーマン』パターンの『ボブ・マーリー ONE LOVE』は、音楽のために生まれた映画館シネマシティの出番。もちろんの【極音】で。

 カルト的人気を誇る週末世界SF『ソイレント・グリーン』がデジタルリマスターで帰ってくるのも見逃せない。
 1973年の映画が描く2022年のニューヨークは、異常気象、人口爆発による食料や資源不足、拡がる貧富の差など、散々なディストピア。元祖『猿の惑星』同様チャールトン・ヘストンが主演なのも、奇妙な巡り合わせか? 映画ファンはお見逃しなく。

 えッ、これ石原さとみさんなの!? と驚きを隠せないポスターヴィジュアルにまず目をひかれる『ミッシング』は、幼い娘が突然いなくなった母親に降りかかる、マスコミの暴走とネットの誹謗中傷の嵐を描く、まさに現代の闇を暴き出す衝撃作。

 カンヌ映画祭グランプリ、米アカデミー賞国際長編映画賞を受賞した『関心領域』は、驚くべき内容。
 第二次世界大戦下のドイツ、アウシュビッツ強制収容所のすぐ脇に暮らす所長一家の、ほんの少し向こうで起こっていることなど、まるで実在していないかのような優雅な生活を描く。
 「それ」は音で描かれる。ゆえに【極音】という選択肢を取らざるを得ない。

 こちらはもう少し具体的な社会問題に切り込む『バティモン5』は、やはり厳しくフランスの社会問題を描いた『レ・ミゼラブル』のラジ・リ監督最新作。
 パリ郊外の再開発を機に、移民たちを排斥しようとする行政との抗争を描く。

 そして末日を締めくくるのは、シネマシティの名刺代わりの一作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の続編であり、ヒロインであったフュリオサの若き日を描く前日譚『マッドマックス:フュリオサ』が登場。
 おい、なんか大事なものがついてなくないか、と思われるかも知れないが、まったく心配無用。劇場をドゥーフワゴンにするというコンセプトで詰まれて吊り下げられたaスタジオのスピーカー群が、大人しくしているわけがない。
 少し前にヴァルハラへと旅立たれたイモータン・ジョー様こと、ヒュー・キース・バーン様が降臨した「聖シタデル」で観る幸福よ。Witness。

 《月イチ アニオール》は先月に続き、3期の放送も始まった「この素晴らしい世界に祝福を!2」。加えて『この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説』もリヴァイヴァルしちゃいますので、5月は岩浪祭。

 他にも面白映画たくさん。
 もう暑くなってきたし、映画館でお逢いしましょう。