立川シネマシティの映写チーフ、雨宮が【雨音 AMEOTO】のサインをつけた、個人的に音推しの作品についてコメントしていく【アメオトノオト】。
『セッション』
aスタジオ/【極上音響上映】/上映中~4月6日(木)迄/CPL Data:2K,SCOPE,5.1chLPCM,(原題:Whiplash)
チケットはこちら:セッション (cinemacity.co.jp)
今回は【AMEOTO】対象作品ではなく、【極音】上映である『セッション』の紹介とそれに絡めて、aスタジオの魅力を綴っていきたいと思います。
シネマシティが誇る数ある【極音】上映対象作品の中でお勧めベストを作るとしたら、映写としてもこの『セッション』は入れたいと思うほど、作品とシネマシティの親和性が高いです。
最近、JAZZですごく滾る気持ちが爆発し、頭になぜかフレッチャー先生が浮かんでしまった人も多いのではと思います。僕は浮かんでしまいました。
人間、気持ちが滾っていると欲が出てくるようです。
以前の音で確認中に「なんか違うな?こうしたいな、あのJAZZはもっと熱かった」と思ってしまい、実は前回の『セッション』上映時からさらに煮詰めてパワーアップさせたセッティングになっています。
私のワガママのような提案から完全な形にしてくれた音響家の増様に感謝を。自分だけでやっていたらここまでの形にはできなかったと思います。
そんな『セッション』を上映しているaスタジオはどんな劇場なのか、少し解説していきます。
『マッドマックス 怒りのデスロード』や『劇場版ガールズ&パンツァー』の【極上爆音】で有名になった立川シネマシティのaスタジオなので、よく大音量が凄いという印象を持っている方も多いと思います。実際、このメインスピーカーに使われているMeyer Sound のLEOPARDや900-LFC、そしてみんな大好き1100-LFCは大音量も出せます。
このスピーカー達が限界を迎える前に鼓膜がダメになるぐらいのスペックを持っています。過去このスピーカー達の限界までの音量を出した事は一度もありません。たまに「限界で歪んでいる音がする」という意見を見ますが、それは恥ずかしながらフレームの共鳴音であったり金具の振動です。もしくは音源が歪んでいます。
と音量自慢をつい書いてしまいましたが、私が言いたいのはこのスピーカー達の本当に視るべきところは、音量ではなく、小さい音から大きい音までを繊細に鳴らしきり、音の奥行をしっかりと再現できるその驚くべき再生能力です。
『セッション』でのドラム演奏時にスネアやシンバルの音が少しずつ近づいてくる音がありますが、下手なスピーカーではその近づいてくる段階が遠い→近いという2段階ぐらいしか表現できません。しかしaスタジオでは遠い→ちょっと遠い→ちょっと近い→近い→めっちゃ近いといった感じをさらに細かく、言葉では割り切れないほど限りなく無段階で表現できます。
基本的にスピーカーは、スネアなどの瞬発力がある音は理屈上の問題で再生が苦手な音です。
しかし、aスタジオのスピーカー達は限りなく苦手を感じさせない瞬発力のある音を出してくれます。それも音量の大小に関わらず、出してくれるのはとてもすごい事です。
aスタジオで有名なスピーカーといえば、やはり1100-LFCが代表的かなとは思います。
この1100-LFCはパワーもさることながら、心地よい低音を出してくれます。
サブウーファーはその性質上、どうしても音が遅れ気味になるのですが、そこはさすがMeyer Sound 。しっかり合わせてくれる素晴らしいサブウーファーです。
このサブウーファーの導入きっかけの話を少しします。
実は1100-LFCの導入前にいろんなサブウーファーの聞き比べをしていました。
その中でこのサブウーファーがダントツで他の音の邪魔をしなかったのです。
導入の決め手はそこでした。
シネマシティが目指すのはただ音量が大きいだけの映画館ではなく、音が美しい映画館です。「音量が大きい」はその副産物でしかありません。
そのために選んだ一品です。
『セッション』ではそのおかげで心地よいバスドラの音や、ベースの音を堪能できるかと思います。
シネマシティのシネマ・ツーの劇場はすべてデジタルミキサーが導入されています。
【極音・極爆】ではこのミキサーを使って音響調整をします。
シネマ・ワンにもデジタルミキサーが入っている劇場が数か所あります。
この辺は映画館ぽくない設備ですね。
『セッション』も例にもれず使用しています。
シネマ・ツーの床はコンクリート床になっていますが、匠のデザインの一つで意味があります。
独特な足元を這う低音をあえて演出するためにコンクリート床にしてあります。
コンサートホールのような錯覚を覚える要因の一つかなと個人的には思っています。
シネマ・ツーの全劇場で、座席にライトがついています。従業員の間ではロウソク灯と呼んでいます。
上映前やあとの雰囲気がいいのでよく気に入ってもらっています。
『セッション』には特に関係ないです。
aスタジオは音響設備も有名ですが、もう一つ有名な物があります。
スクリーンです。スチュワート製のマットホワイトのスクリーンを導入しています。
スクリーンのサイズはシネマシティの11劇場中上から2番目の大きさです。実は最大ではないですが日本国内で稼働中のスクリーンでは最大級のスチュワートスクリーンです。
音を楽しんでもらうために画も綺麗じゃないとダメだねと思い導入してみましたが、めちゃくちゃ映像が綺麗なのでつい力を入れてプロジェクターのセッティングを行ってしまいます。
広角レンズだから歪んでいるのではなく実際に湾曲しています。
aスタジオの性能をフルで使った『セッション』はとても素晴らしいです。
え、6日(木)で終わりなのに前日にそんな事言うなって突っ込まれそうですね。私もそう思います。
先入観なしで観てもらいたかったと苦しい言い訳をしておきます。
今回はaスタジオを紹介させてもらいましたが、今後も作品と絡めてシネマシティの各劇場を紹介していこうと思っています。雨宮の自己満ですが、お付き合いくださる方がいると嬉しいです。