【シネコンウォーカーコラム】『プライベート・ライアン 4K』【極音】。銃撃と砲撃の海辺、その真っ只中へ。2024年12月27日(金)-2025年1月9日(木)上映

2024年11月29日

 季刊で劇場にて無料配布している「シネコンウォーカー」。
 次に何観る?っていうときに役立つ、最新映画情報が紹介されているテイクフリーのミニ雑誌で、電子版もリリースされている(下記バナーをクリック。常にHPトップにバナーあり)。

 ここで創刊当時から、シネマシティ企画担当の遠山が連載している映画紹介コラム「TO SEE OR NOT TO SEE」。
 シネコンウォーカー電子版の存在をもっと知っていただきたいのと、新作の宣伝もかねて、コラムだけ抜粋してご紹介。

『プライベート・ライアン 4K』【極音】
銃撃と砲撃の海辺、その真っ只中へ
2024年12月27日(金) – 2025年1月9日(木)

 シネマシティでは周年企画のひとつとして、映画音響の歴史や制作の裏側を捉えたドキュメンタリー『ようこそ映画音響の世界へ』のリバイバルと、そこで大きく取り上げられた三作品の特集上映を開催。詳しくはHPをご覧いただきたいが、その内の一本、公開から四半世紀が過ぎれどいまだ最高であり続ける戦争映画の傑作『プライベート・ライアン』をご紹介。

 第二次世界大戦のノルマンディー上陸作戦を描く今作は、ある四人兄弟が立て続けに三名戦死してしまったため、生存している可能性がある末っ子だけでも帰還させようと派遣された救出隊を描く。無名の一兵士を「大義名分」のために複数名の命を賭して救うという不条理な物語も、戦争の持つ歪んだ側面をあぶり出す見事なものだが、ここではやはり「音」について書かせていただきたい。

 見どころだらけの本作だが、しかしとりわけオマハビーチへの上陸戦を描いた冒頭の二十分は言葉を失うほどに凄まじい。当時シネマシティのTHXシアターで初めて観たときの「立体音響というのはこういうことか」と震撼したことは今も記憶に新しいほどだ。

 灰色の空と海の中、無数の上陸艇が浜に近づくやいなや唐突に始まる、銃撃と爆発の轟音。まだ艇から降りる前に絶命していく兵士たちの凄惨さに面食らう観客の耳にも、数え切れない銃弾がかすめていく。砲弾の音が地面を震わす。

 耳をつんざく膨大な音の量から一転、海中に落ちた兵士を追ってカメラが沈む。音はくぐもってピアニシモに変わり、水中をも進んで兵士の頭蓋を撃ち抜く銃弾の音に観客を集中させる。噴きだす血液の緩やかで決定的な絶望。


 地上にふたたび戻ったあとも、この音のダイナミズムは主人公の間近で砲弾が炸裂して聴覚が奪われる、というように繰り返される。その緩急のあまりの激烈さに、観客は翻弄され、思考を奪われてしまう。途轍もない演出力である。

 これをaスタで観て、戦場に引きずり込まれていただきたい。

 上映時間確認、Web予約はこちら https://res.cinemacity.co.jp/TicketReserver/studio/movie/3308

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