【アメオトノオト】ガルパン劇場版のリアルタイム生音響調整上映の後日談

前回の投稿から半年くらい空いてしまっていました。
こんにちは、立川シネマシティの映写チーフの雨宮です。

それもこれも夏に発表という事になっている設備改修で色々と奔走している故でもあり、去年からずっとあれこれ進めています。
ただちゃんと形に出来そうな目途が立ちましたので皆様にはとてもサプライズとして喜んでもらえる内容になるかと思っております。発表をもうしばらくお待ちください。


さて、8日の日曜日に岩浪音響監督のアニトーク企画の新シリーズである「音響監督 岩浪美和のMAKING WAVES」の一環で、ガルパン劇場版のリアルタイム音響調整上映なるものを行いました。
以前にも何回かやっていた上映ですね。
作品を視聴しながら、場面に合わせて色々とその時の空気感で演出して調整するというPA屋さんのような感じです。

本来はそのリアルタイム調整だけのイベント上映だったんですが(本当に)、諸々とありいつも極音や極爆で行っている作品音響調整もぶっつけで公開調整でやろうって話にイベント開始30分くらい前になりました(本当に)。
イベントの頭のトークでやっていた私が遅刻して~というのはプロレスで最初から決まっていたわけではないです(本当に)。

自分でも以前に公開調整をやりたいなぁと発言はしていましたが、この状況で!?とトークどころではなく結構な頭フル回転での公開調整となりました。岩浪音響監督が傍らでやっている事を解説してくれていましたが、僕視点も含めてあの時やっていた調整内容をテキストにするのも面白いかなと思い、ちょっと解説をしてみます。


あの時は時間が本当にないので効率重視の調整RTAみたいな気持ちでした。

普段と違うのは、各チャンネルのバランス感はリアルタイム調整があるので、あまり気にしなくてもいいという点と、新作ではなく何度も観たガルパンだったのでイメージが湧きやすいという点です。

主要であるセンターチャンネルのセリフを成立させるがとにかく目標でした。
成立というのはスタジオでの音のようにナチュラルにしつつ、劇場の大空間での再生音にするという事です。デフォルトの劇場セッティングでは何故それが素直に再生されないかというのはまた難しい別の話になるので今回は割愛します。
劇場のネガティブな要素を電気的(EQ)にできる事で正していき、建築上の物理的にどうもできない部分も錯覚のような誤魔化しを入れて整音していきます。
まあ勝手知ったる自分の手足のような劇場なのでこの辺は結構パパっと行きました。
岩浪音響監督もパパッと更正をしてくれるので早かったです。

その後は本番で音量感がリアルタイムで変化するのも鑑みて、センターのセリフとなるべく喧嘩にならないようにと違和感を生まないようにL/Rの音に細工します。声が上手くだせなかったので皆様に聞こえてたか不安ですが、あの時、スピーカーの重心を合わせるといった説明をしたときの細工がこの辺りの細工になります。サラウンドも本来はこの時みるのですが、先述のリアルタイムで変化という都合上省きました。

この辺で大雑把にフレームが完成したのですが、時間の問題でここまででした。
まあ最悪、本番中に修正もできたのでこの辺でも良いかなと。

本来の極音・極爆の作品調整であれば、この完成したセリフをベースに各チャンネルのバランスを観ていき、スピーカー感の繋がりを調整します。EQを入れるという事は音量感も変わるのでバランスがくずれるためですね。
最後に正しい音も大事ですが製作側の方々と協議して劇場特化の感情や本能に訴えかけるスパイスを入れて完成させていくというので、もっと時間はかかるものです。

結果として見ると、もうちょっと声がンホンホしちゃってる部分を調整してもよかったなという心残りもありますが、ちょっとその微調整は時間がかかるのであの時間の中では及第点という感じです。

今度こそはちゃんとした公開調整をやってみたいですね。お客さんたちとどんな感じがいいかな?って相談しながら作り出す調整も面白そうです。

LFEは10dB以上の余裕残してたのでもっと暴れても大丈夫だったんですがね。
昨年のリバイバルや公開当時とは違ったガルパン劇場版が楽しめたのではないでしょうか。