今回は作品へのコメントではなく、映画館で映画を上映するのにとても重要なBチェーンという作業を紹介します。
最近忙しすぎて、【AMEOTO】のチョイスと【アメオトノオト】がおろそかになってしまっています。
そろそろ忘れられてしまいそうなので、作品のコメントではありませんが映画館の裏側を少し紹介してみようと思います。
先日、シネマワンのf、h、i、kの4スクリーンの音響設備のメンテナンスを行いました。
シネマワンのMeyer Soundのスピーカーが使われている劇場となっています。
何を行ったかといいますと、各スピーカーの取り付けに問題が起きてないかなどの点検や清掃、各音響機器の動作チェックなど多岐にわたる点検を行い、現状の状態を事細かに確認と記録、必要であれば修繕を行います。
さらに全てのチェックが終わった後に「Bチェーン」といわれる劇場内の音響調整を行います。
【極上爆音上映】や【極上音響上映】での作品調整の事をよく音響調整と言っていますが、本来映画館の音響調整とはこのBチェーンの事を指します。
Bチェーンとは何ぞやという話ですが、専門的な言い方をすれば電気的に行える範囲でのルームアコースティックの調整で、システムチューニングの部類になります。
イコライザーなどを使用した劇場内の音響特性の調整となります。
映画館の音響セッティングは世界中で統一された基準が存在していて、その基準通りにセッティングを行います。映画用のスタジオも同じ基準で作られるため、スタジオで作られた映画を劇場でも同じように体験できるという事を目標にされている基準です。
スピーカー一個一個、サラウンドも一個ずつです。すべての特性を測定し、再生に異常がないか等も一緒に確認し、ずれているところを修正していきます。
システムチューニングはマイクや劇場の音場の特性等もあるので、アナライザーを視ながら基準値を綺麗に目指すだけではポンコツな音になってしまいます。そこを知識と経験と技術という全てを使って正しい音へと調律します。
写真のお二人はシステムチューニングの神様のような方で、いつも【極上爆音】【極上音響】でお世話になっているベテラン音響家の増氏と、その一番弟子の岩下氏です。
Meyer Soundの素晴らしいところはスピーカーの品質もありますが、SIMといわれるソフトを使った音響測定もセットだからこそできる高次元の音響システムになるところだと思っています。
二人はそのSIMを日本に持ってきて広めた第一人者です。
今回はSIMと同じ測定方法ができるsmaartというソフトでの測定になりますが、この二人のチューニングレベルは日本最高峰であり、このデュアルチャンネルFFT測定をしっかり理解していて行えるエンジニアは未だに多くないかと思います。
個人的にはこのお二人に色々と測定とはなんぞやというのを教えて貰いながら、最近の映画音響の傾向や劇場の癖など取り入れた方向性なども私の方からも提案し、ディスカッションを行い、最良の状態に突き詰めていくこの時間がとても幸せな時間で楽しいです。
いやー充実した1週間でした。
作業がとても濃いのでとても忙しかったですが(ほとんど見てただけだけど)、とても良い仕事をしていただいて、お客様にも安心して映画を観てもらえると思っております。